最高裁判所第一小法廷 昭和41年(オ)638号 判決 1966年12月22日
上告人 小川直吉
右訴訟代理人弁護士 綱沢利平
被上告人 石川ツネ
同 石川キヨ
同 石川順章
同 石川友彦
右石川順章、石川友彦法定代理人親権者母 石川ヤス
主文
原判決を破棄する。
本件を仙台高等裁判所に差し戻す。
理由
上告代理人綱沢利平の上告理由第一点について
記録によれば、被上告人ら(亡原告石川徳治郎の承継人)の本訴請求に対する上告人(被告)の抗弁は、上告人が亡石川徳治郎の訴外早坂忠三郎に対する金一六万円の消費貸借につきなした保証は、徳治郎と上告人間における通謀虚偽の意思表示による無効な契約であること、竝びに右保証債務は時効によりすでに消滅したものであることの二点に存することは、明らかである。
しかるに、原判決は、右上告人の抗弁のうち、右通謀虚偽の意思表示による契約無効の抗弁については何ら判断を加えることなく、単に右保証債務は時効の中断により消滅時効完成せずとの判断をしたのみにより、直ちに一審判決を取消し、被上告人らの本訴請求を容認したのは、審理不尽、理由不備のそしりを免れず、論旨は理由がある。従って、他の論旨を判断するまでもなく、原判決を破棄し、さらに右の点を審理判断させるため本件を原審に差し戻すべく、<以下省略>
(裁判長裁判官 長部謹吾 裁判官 入江俊郎 裁判官 松田二郎 裁判官 岩田誠 裁判官 大隅健一郎)
上告代理人綱沢利平の上告理由
第一点 原判決には判決に影響を及ぼすことが明かな判断の脱漏がある。即ち<省略>。
第二点<省略>